東方短編シリーズ

 

スキマ妖怪の玩具

 

 

「なあおねーさん」

「なに?」

寝むそーに応える俺の師匠・・・かどうか良く分からない俺を気まぐれで鍛えてくれている人?。まあ今は昼間だしこの人・・と言うか妖怪が眠たくても当然と言えば当然か。

「いやさ、いつになったら帰してくれるんだ?あと今日の修業はまだか?」

「そうねえ・・・帰すのも面倒だからもうしばらくこっちに居なさい。修行も面倒だから今はお休み」

「・・・・・・おい」

zzzzzz

寝やがった。俺はレンタルビデオとか図書館の本じゃねーんだぞ。人を本当に鍛える気あるのか、このババ・・っとそんな事言ったら喰われかねん・・・無論食事的な意味で。

仕方がないので本日の訓練は糸冬。てきとーに家をブラつくとするか。

「ん?今日はもう終わりかい?」

俺の視界に入ったのは九本の尻尾。

「あ、はい。おねーさんが寝ちまったんで」

「そうか・・・」

「ところで藍様、今日これk」

「昼食はもうしばらく時間がかかるから、まあ待っていてくれ」

「はいはーい」

いつ見てもモフモフしてフサフサして柔らかそうな尻尾。あー触りたい。正直橙が羨ましいよ、ホント。

さて、軽くあしらわれたあげくに昼飯はまだ先。本気でやることが無くなった。橙のとこに遊びに行っても良いが、正直メンドクサイ。・・・いや、どうやら向こうから来てくれたようだ。背中に重みを感じる。

「藍様は?」

「調理中だ。昼飯はもうちょい時間がかかるそうな。あと重いから降りてくれ」

ピョン、という擬音がよく似合う感じで俺の背中から飛び降りる橙。そのままトトトと走り去っていく。

 

拝啓、お父さん、お母さん、スキマ妖怪に遊ばれていますが、今日も僕は元気です。

 

「何かってに終わらせてるのよ」

「ゲッ、おねーさん・・・起きたんすか」

「熱くて寝てられなかったのよ」

「・・・」

相変わらず滅茶苦茶な人だ。なら寝なければ良いではないか。

「さて暇なんでしょ?廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」

俺に迫り来るのは一台の車両・・・おい、殺す気かよ。

「あら、これくらいで死ぬようなあなたじゃないでしょ?これで死んだらとうの昔に私の玩具失格よ」

散々な事を言ってくれる。いや、普通の人間なら絶対に死ぬってこれ。とわ言え俺もこんな事で死にたくない。まだ九本の尻尾に触ってモフモフしていないのだから。

そう俺たちの戦いはこれからだ!!